今年最後の映画は「マトリックス レボリューションズ」を渋谷エルミタージュで。先月、一度目に見たときは映像に圧倒されてストーリーが分からなかったので、頭を少し冷やしてから再度見てみたのだがやっぱりよく分からない(笑)。アニマトリックスを観るつもりも無いので、このまま分からないままなのだろう。
今回気になったのはマシンシティ上空での稲妻と雷鳴の関係。ハリウッド映画はほとんどすべてそうなのだが、稲妻が光ると同時に雷鳴がとどろく。すぐ近くの出来事ならそれで当たり前だが、ずいぶん遠くで光っているのに雷鳴が同時に鳴るのはやっぱり違和感がある。観客を思いやっての演出なのだろうが、時間差をつけたほうが空間の大きさをより効果的に表現できるのになあ、といつも思う。他の映画ならまだしも、マトリックスシリーズでそれをやられると残念だ。
マトリックス内部でならどんな物理法則を適用しようがかまわないが、ザイオンやマシンシティでは物理法則に忠実な描き方をするほうが仮想現実との差を明確に出来るのではないだろうか。
昨日の朝、YARDさんのBogを読んでAmazonに注文したら、30時間でDVDが到着。良い時代に生まれたものだ。まだ見ていないので10数年前の記憶しかないが、傑作である事には自信がある。アニメーション作品なのでStrange Daysではなく、こちらに感想を書くつもり。
追記:
結局2日で2回観てしまった。とにかく面白い。画のタッチそのものの持つ面白さもさることながら、カンブリア爆発の悪夢のような生物たちや残酷でエロティックなストーリーなど、ディズニーアニメーションの対極にある非常にヨーロッパ的で、かといって東欧的ではないアニメーションを再確認した。日本のジャパニメーションとも全然違う。30年近く前の電子音を多用したSEやサウンドトラックを今聞いても新鮮に聞こえるのはただ驚くしかない。ラストが「猿の惑星」に似ていて少し弱くてあっけないが、十数年ぶりに大いに楽しめた。年が明けたら知り合いのクリエーター達に強制的に見せて回ろうっと。
Amazonからのギフト券で購入したDVD、「ピンク・フロイド - ライブ・アット・ポンペイ - ディレクターズ・カット」にショックを受けている。このライブは1972年に南イタリアのポンペイ遺跡の円形劇場で、なんと「観客なし」で行われたもので、今回のDVDはその当時の映像にコンピュータグラフィックで復元したポンペイの3DCGによるウォークスルーを重ね合わせたものだ。
この3DCGが悲しい、というか正直イタイ。DVDのどこにもCGの製作年度の情報が無いが、たぶん少なくとも7、8年前のCGである事は確かだと思われ、当時としては最高水準の街並みの表現だったのだろうが、いま2003年に見る限り、本当に悲しくなるような出来である。建築物の三次元情報として正確なのだろう。ただし、それしか感じない。火山の噴火で埋もれてしまった都市の存在感、空気感、人の息吹は感じられず、非常に乾燥した、暑くも寒くも無い都市が再現されている。この表現が「失われた都市と文明」を連想させる演出だとしたら大したものだが、そうではないだろう。たぶん表現したいものに技術が追いついていないだけだ。DVDの映像特典の中に1972年当時のフィルムのみの映像があるが、そちらのほうが遥かに出来が良い。
3DCGの技術としては未熟なものであっても、表現したいものやストーリーとのバランスとの関係なのか、傑作はいくらでもある。初期のピクサーの「ルクソージュニア」がその代表だろう。厳密には3DCGとは言えないが「マックスヘッドルーム」だって今見れば笑ってしまうような技術だが、素晴らしいTVシリーズである事は言うまでも無い。
ピンク・フロイドがこのライブDVDに3DCGを使った意図は何なのか?何を表現したかったのか?それとも制作側が「3Dで街が復元できるそうだから使ってみっか」と時節に流されたのか、なんとも納得のいかない映像だった。演奏自体は「Echoes Part I」ではじまり「Echoes Part II」で終わるのだから悪いわけが無い。
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディション」の特典ディスク2から「視覚効果」と「編集作業」のパートを見終ったところ。視覚効果の中でもCGIやコンポジット等を担当した「WETAデジタル」のチャプターが面白いのは当然だったが、今までに結構な量の情報を書籍やイベントなどで仕入れていたので、群集シミュレーター「マッシブ」の具体的な解説以外は、まあ、こんなものか、と。予想外に感動したのは「編集作業:物語を洗練する」という22分のドキュメンタリー。
知っての通り「二つの塔」は三つのストーリーが同時に進行する。フロドとサムとゴラムが滅びの山へ向かう話。ピピンとメリーとエントの話。ガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリ達とローハンの話。編集作業ではこれらを時系列で編集していくのがあたりまえの方針だと思うが、監督のピーター・ジャクソンはまずそれぞれのストーリーを最後まで編集し、三本のストーリーを完成させてから、それをバラバラにして時系列に組みなおしたのだそうだ。これはとんでもない作業量を伴うはずだが、それをしただけの効果は確かにあったと思う。主役のはずのフロドの影が薄いという批評を聞いたことがあるが、本当の主役は「中つ国の世界観」であると捉えれば、逆にバランスの良い編集になったと言えるのではないか。
さらに、ピーター・ジャクソンの言葉にこんなのがあった。
「可能ならば、撮影の記憶を催眠術で消してから編集したい」
いい言葉だなあ。批評する目を自分の思い入れで曇らすな、と言っているわけだが、この言葉は全てのクリエーターの戒めになるだろう。撮影や編集に限らず、CGでもプログラムでもシステムでもWebでも、創った過程の苦労した記憶をなくし、思い入れをなくし、先入観をなくし、先の展開が予想できない状態の「無垢な視聴者」として作品なり、仕事を見直す。自分を批評する事を恐れない、自分の過去の判断を否定する事を恐れない勇気こそが、本当の「クリエーター」のに必要な資質なのだろう。
ニュージーランドのWETAとロンドンにいる監督との映像のやり取りのラスト1マイルにAppleの「iPod」が使われた、という小ネタもあった。ずいぶん稼いだんだから家に光ファイバーくらい引きなさい、監督。
CNET Japanの記事に「NEC、映像コンテンツ検索における顔認識技術が国際標準規格として採用」があった。乱暴に要約すると「NECとサムソンが開発した動画中の顔認証の技術がMPEG7に採用された」という事。これはかなり大きな可能性を秘めたトピックスじゃないだろうか?セキュリティ方面への実装はもちろん、メタデータとして個人の顔情報が管理できれば、応用範囲は広がるばかりだろう。
ちなみにNECはマイケル・ジャクソンの長年にわたる動画データで検証作業を行ったのだろうか、そしてその結果は?興味があるなあ。
SOFTWARE Tooから財団法人国際メディア研究財団というところが開発したgam 1.0Jのお知らせメールが届いたので、トライアル版をダウンロードして遊んでみる。Flashの簡易版みたいなもので、機能は限られているがそこそこ面白い表現が手軽に作成できる。 メインの機能は以下の四つ。
- スキャタライズイメージ (写真を分割しアクションを付ける)
- ドットマトリックス (画像をドットで表現)
- キネティックテキスト (テキストアニメーション)
- ベクタートランスフォーム (インタラクティブな変形アニメーション)
表現のパターンは少ないしパラメータの自由度も限られているようだが、いまどきのはやりの表現を作るだけならピッタリかもしれない。このバージョンはHTML書き出しの機能が弱すぎるし、追加のプラグインの詳細も分からないので4,600円払ってユーザになるかどうかは微妙なところ。たぶん15日のトライアル期限が切れたらそれっきりの可能性が高いかも。
昼過ぎからCSN1の映画「アビス」をみるともなしに観ていたら、途中でディレクターズカットではないことに気づいた。ILMがVFXを担当したCGによる水の表現が素晴らしく、ジェームズ・キャメロンが監督した中では一番好きな作品だけど、一般的に劇場公開版の方が面白い場合が多いハリウッドの歴史の中では、珍しくディレクターズカット版の方が面白い。
通常、劇場版がスタジオ(日本では配給会社)の意向を反映させたものであるのに対し、ディレクターズカット版では監督の思い入れを反映させすぎて、長くて説明過多でくどい作品になりがちだ。アビスでは編集で切りすぎて説明不足で意味不明だった個所を復活させたため、非常にわかりやすくかつ楽しめる作品になっている。逆にラストの大津波のシーンがない劇場版は、この映画のメッセージがバッサリ抜け落ちてしまっていると思う。
同様にディレクターズカット版の方が面白い作品の代表に、「デューン 砂の惑星」があり、劇場版が面白かった代表に「ブレードランナー」がある。「2001年」はどちらか分からない。作品の感じ方はそれぞれだと思うが、一部のマニアのようにディレクターズカット版こそが素晴らしいという頭から決めつけた信仰には惑わされないように気をつけたい。
今日放映されていた「アビス」は「エンダーのゲーム」の作者のオースン・スコット・カードによる素晴らしいノベライゼーションがある。というかノベラで素晴らしいと感じたのは唯一「アビス」のみだといって差し支えない。映像に非常に忠実であるのに、さらに深い理解と感動を与えてくれることは約束できる。「アビス」が好きな方は是非ノベラを読むことをお勧めする。と書いた後で調べてみたら、どうやら絶版ぽいですね(笑)。
携帯電話の基本機能はもちろん「通信」だが、今や大きな割合を占めてきた「映像撮影」機能とメタ情報を組み合わせることにより、映像業界で言うところの「ブレットタイム」もしくは「タイムスライス」を実現できないか、考えてみた。マトリックスでネオが弾を避けるシーンで有名になったあれね。避け切れなかったけど(笑)。
有名人を一般人が取り囲んでパシャパシャやっているのは、街中や空港などでよく見かける風景だが、それぞれの撮影者の撮影情報、たとえば位置情報、時間情報、撮影方向・画角、アイリス、フォーカス等のメタ情報を付加した映像ファイルを検索できるシステムを作れば、撮影した本人以外でもその場所を別のアングルから眺めることが出来る。映像(静止画でも動画でも)をひとつのサーバで一元管理すれば楽かもしれないが、そんなことをしなくてもメタ情報がネットワークに有効に流通すれば、データが分散していても問題は無いだろう。
肖像権を持つ対象の撮影には使えないが、撮影者がパブリックドメインの精神に賛同してくれるなら、巨大な映像データベースが構築できるはずだ。ブレットタイムやタイムスライスのような密度の高い体験は無理だとしても、空間情報と時間情報の特定から自分が撮影していた近所で誰か別の人が撮影していたのが判明したら、その映像を見たくなるのが人情ってモノではないかな。
GPSの精度もしくはそれに類する位置特定システム、RFIDが使えるかもしれないな、その他映像に付加するメタ情報の整理など課題は多いけど、現状の技術でも結構出来るんじゃないかと思う。第一段階としては、「Googleのイメージ検索で場所と日時を指定した検索」をより使いやすくしたイメージかな。このネタは膨らみそうだ。
12/1に更新されていたんでちょっと古い話題だけど、MacDTV.comのMacDTV研究室に「Pixletコーデックの研究」が追加された。「Pixlet」はピクサー社が開発し、Panther(MacOS 10.3)から搭載されたビデオコーデックで、その高画質が話題になっているのはもちろん知っていたが、実際に使ったことは無い。
この記事によれば「Pixlet」はMotion JPEGやDVの仲間の空間圧縮方式のコーデックで、MPEGのような時間圧縮はしていない。Motion JPEG等との大きな違いは「Wavelet(ウェーブレット)変換」を利用しているところにある。なるほど。
ということはJPEG2000の動画版て事かあ。離散コサイン変換ではなくウェーブレット変換を行えば、ブロックノイズやモスキートノイズが原理的に発生しようが無いからなあ。圧縮した動画をさらに圧縮しても劣化は少ないはずだから、後からメディア別のバリエーションを作ってくれと言われても、最悪オリジナルファイルが無くなっていても何とかなるし。ただし、演算処理は確実に重たくなるはずなので、どの程度の解像度で、どの程度の変換スピードが得られるのか早く実験したい。あ、その前にPantherを買わねば(笑)。
1GのG4でデジタルフィルム(って2kの事か?)をリアルタイム再生できるとアップルのページには書いてあるけど、デコードのスピードなんて誰が知りたいか。エンコードのスピードが知りたいんだよ。もしかしてG5 2G DualでSD解像度だったらリアルタイムで変換できてしまうのだろうか。たぶんそんな事は無いよな。